「考える力」を育てる:抽象と具体の間で

· 塾長の指導観・雑感

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

当塾に入塾直後の生徒が、整序問題に取り組んでいると、ただ「なんとなく」答えを並べている姿を多く見かけました。

明らかに間違った並べ方ではなく、最後の詰めの段階で少し考えることを怠り、「こんな感じかな?」と軽く答えを書いてしまう、いわば「無意識のデタラメ」。

この「無意識のデタラメ」が習慣化している生徒は、なかなか成績が伸びません。

しかし、ここで大切なのは「デタラメに書くな」という指摘だけではなく、なぜ生徒がそのような答えに至ったのか、その思考過程を深掘りすることです。

生徒が自ら「自分はどこかで適当に答えを出している」という自覚を持たなければ、同じミスを繰り返すだけです。

この自覚を促すためには、指導者が生徒一人ひとりに「なぜその答えにしたのか?」と発問し、具体的な思考のプロセスを確認していくことが最も効果的だと考えます。

ある生徒に対して「この文の主語は何?日本語では?英語では?」と尋ねる。

続いて「動詞は何?この文ではどのように使われている?」と質問を続ける。

こうした具体的な問いかけを通じて、生徒は自分が何を考え、どこでつまずいたのかを自分で認識するようになります。

抽象的な指導、「整序問題は文型と修飾・被修飾の関係を捉えることが重要」などと言ったところで、生徒がそれを理解し、使えるようになるわけではありません。

生徒にとっては、具体的にどのように考えるべきかはわかりません。

そのため、教師が一問一問具体的に発問し、追求し、どのように考えればよいのかを示す必要があります。

考えるという行為が何なのか、そのプロセスを少しずつ伝えるしかありません。

これは決して近道のない道のりです。

「そんな手取り足取りでは生徒は自分で考える力を身につけない」という意見もあるでしょう。

しかし、これは誤解です。抽象的なまとめを語るだけでできるようになる生徒は、どの教師が教えても、または教えなくても、自然に身につける力を持っているのです。

逆に、具体的に手取り足取り教えることで初めて考える力を身につける生徒もいます。そういった生徒を育てるためには、指導者の情熱と忍耐が求められます。

考える力とは、単に答えを出すことではなく、その過程で何を考え、どのように判断を下すかを学ぶことです。

それを生徒に伝えるためには、指導者が自身の「抽象的なもの」を具体に落とし込んで生徒に示し、生徒自身がそれを再び抽象化して理解するプロセスを支援する必要があります。

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