英語文法ミスから見る子どもの思考癖

· 塾長の指導観・雑感

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

本日は、英語の文法問題で頻繁に見られるミスについて、その根本的な原因と対策を考えてみたいと思います。

例えば、こんな問題をがあります。

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Jim ( )tennis yesterday. [ play / plays / playing / played ]
```

一見簡単そうに見えるこの問題で、意外にも多くの子どもたちが「plays」を選んでしまいます。「Jimだから三人称単数現在形のplaysだ!」と即座に判断し、問題文の最後まで目を通さないのです。

このミスは単なる「うっかり」や「注意力不足」ではありません。実は、人間の根深い習性が関係しているのです。

「正解」よりも「速さ」を求める脳の習性

人間の脳には、「正しい答えを出したい」という欲求よりも「早く答えを出したい」という欲求の方が強い傾向があります。これは進化の過程で培われた生存本能の一つかもしれません。危険に直面したとき、じっくり考えるよりも素早く反応する方が生き残りやすかったからです。

しかし、この習性が現代の学習環境では逆効果になることがあります。特に、テストや試験のような時間制限のある状況で顕著に表れます。

宿題の罠

「さっさと終わらせたい」という気持ちから宿題や課題を雑に解く子どもたちがいます。これは言わば「早く答えを出したい」習性を日々強化しているようなものです。

皮肉なことに、宿題の量を増やせば増やすほど、この悪習が強化される可能性があります。結果として、本番のテストでミスが増えてしまうのです。

では、どうすればこの習性を克服できるでしょうか?単に「よく問題を読みなさい」「最後まで目を通しなさい」と言うだけでは効果が薄いのです。なぜなら、これは本能的な反応だからです。

ボクシングで「パンチが来たときに目を瞑らないで」と指導するのと同じくらい難しい課題なのです。

以下に、効果的なアプローチをいくつか提案します:

1. 意識的なスローダウン訓練:
問題を解く際に、あえてゆっくりと丁寧に読む時間を設けます。最初は違和感があるかもしれませんが、これを習慣化することで、「急いで答える」癖を徐々に矯正できます。

2. メタ認知スキルの育成:
子どもたちに「なぜそう答えたのか」を説明させる機会を増やします。自分の思考プロセスを言語化することで、無意識の習性に気づきやすくなります。

3. 質重視の宿題設計:
量よりも質を重視した宿題を出すようにします。例えば、1問に対して複数の解法を考えさせたり、問題文を作らせたりするなど、じっくり考える機会を提供します。


「早く答えを出す」ことへの執着は、現代社会の速さへの過度な価値観の反映かもしれません。しかし、真の学びや成長には、ときに「ゆっくり」「じっくり」というプロセスが不可欠です。

私たち指導者は、単に知識を詰め込むだけでなく、子どもたちの思考プロセスそのものを育てる必要があります。それは、テストの点数を上げるだけでなく、将来直面する複雑な問題に対しても、冷静に対処できる力を養うことにつながるのです。

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