音読の意外な効果

視線の先送りと短期記憶が読解力を飛躍させる

· 塾長の指導観・雑感,英語勉強法

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

音読の真価—見過ごされがちな学習効果とは?

 

「音読をしましょう。」

 

これは、学校や塾でよく聞くフレーズですが、実際に音読の持つ本当の価値を理解している人は少ないのではないでしょうか。

 

英語でも国語でも、音読の効果は単なる発声練習にとどまりません。実は、視線の動かし方や短期記憶の活用といった、より高度な認知スキルを鍛えるトレーニングになっているのです。

 

「読む」という行為の裏側

音読には、ただ単に文章を声に出して読む以上の効果があります。

 

英語を例に挙げると、音読を続けることで、生徒は自然と「句のまとまり」を意識しながら読むようになります。

 

英語の文章は、意味のかたまり(チャンク)ごとに構成されています。例えば、

I saw a boy who was playing soccer in the park.

という文を読むとき、

 

I saw a boy / who was playing soccer / in the park.

と区切りながら読むことで、意味を素早く捉えられるようになります。この能力は、リーディング力の向上に直結します。

 

「読む」と「見る」の並行処理

音読を習慣づけることで、もう一つの重要なスキルが鍛えられます。それは「視線の先送り」です。

 

多くの生徒は、読んでいる部分だけを見て発声します。

 

しかし、熟練した読者は「読んでいる部分を短期記憶に留めながら、その先を目で追う」という並行処理を行っています。

 

これはまさに、プロのアナウンサーが原稿を読むときに行う技術です。

 

このスキルが身につくと、文章の構造を素早く把握し、意味をスムーズに理解できるようになります。

 

特に英語では、この能力がリスニング力にも影響を与えます。聞きながら意味を前倒しで予測する力がつくため、速いスピードの英語でも理解しやすくなるのです。

 

生徒が気づかない「訓練の効果」

音読の効果は、やってすぐに実感できるものではありません。そのため、多くの生徒は「面倒だ」「時間がかかる」と思いがちです。

 

しかし、続けることで、確実に読解力が向上し、さらには記憶力や集中力の向上にもつながります。

 

例えば、ある生徒が「英語の長文が苦手」と言っていたのですが、毎日10分間の音読を続けた結果、1か月後にはスムーズに内容を理解できるようになりました。音読の訓練を続けることで、本人が思っている以上に効果が高いのです。

 

保護者ができること

お子さんの学習において、「音読しなさい」とただ指示を出すのではなく、その意義を伝えることが大切です。

 

「音読をすると、読むスピードが速くなり、テストでも余裕が生まれるよ」といった具体的なメリットを伝えることで、子どもも納得して取り組みやすくなります。

 

また、家庭で一緒に音読をするのも効果的です。親子で声に出して読むことで、学習の習慣が自然と身につきます。