記憶を味方につける勉強法

忘れる前提で賢く学ぶ

· 英語勉強法,塾長の指導観・雑感

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

記憶を味方につける勉強法――忘れる前提で賢く学ぶ

「うちの子、昨日覚えたことをもう忘れてるんです……」

保護者の方からよく聞くこの嘆き。実は、これは当たり前のことです。

人間の脳は忘れるようにできています。なぜなら、すべての記憶を保持し続けていたら、脳が情報過多でパンクしてしまうからです。

逆に言えば、忘れることこそが正常な脳の働きなのです。

では、学習においてはどうすればよいのでしょうか?

ここで大切なのが、「忘れる前提で学ぶ」という視点です。

短期記憶と長期記憶の違い

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。

短期記憶は、一時的に保持される記憶ですが、時間が経つとすぐに消えてしまいます。

一方で、長期記憶に変換された情報は、忘れにくくなります。では、どうすれば短期記憶を長期記憶に変えることができるのか?

その答えは、「関心をもった繰り返し」です。

一度に長時間勉強するより、回数を重ねる→多頻度反復

「今日は12時間勉強した!」と満足感に浸る生徒もいますが、長時間の詰め込み学習は意外と効果が薄いものです。なぜなら、脳は一度に大量の情報を保持できず、大半をすぐに忘れてしまうからです。

効果的なのは、「1日12時間勉強するよりも、1時間を12日繰り返す」こと。例えば、

・1時間を1日だけやる → ほとんど忘れる

・30分×2回を1週間続ける → 記憶の定着率が向上

・10分×5回を2週間続ける → しっかりとした知識として定着

重要なのは、一度に詰め込むのではなく、何度も情報に触れること。これは「分散学習」と呼ばれる科学的に証明された学習法です。

英語学習における記憶の活用法

英語学習においても、繰り返しの重要性は絶大です。例えば、

単語 …… 1日500語覚えるより、100語を5日間繰り返す方が定着しやすい

熟語・文法 …… 1回で完璧にしようとせず、間隔を空けて繰り返す

リスニング …… 1回で聞き取れなくても、何度も音声に触れることで脳がパターンを認識する

どれか1つだけが得意でも、総合力がなければ高得点は取れません。バランスよく、繰り返しながら知識を定着させることがカギです。

「盤石な学力」はこうして築かれる

ある程度の期間、地道に繰り返していくと、ある瞬間から「点と点がつながる」感覚を覚えることがあります。これが、「知識が体系化された状態」です。

例えば、単語を覚えていると、文法の理解がスムーズになり、読解の速度が上がる。そしてリスニングでも「あ、これ知ってる!」という場面が増える。この段階に到達すれば、学力は揺るがなくなり、安定した高得点が取れるようになります。

忘れることを前提に、学び続ける

「うちの子、すぐ忘れるんです……」

これは決して悲観することではありません。むしろ、「忘れることを前提に、繰り返し学ぶ」という発想に切り替えることで、学習の効果は飛躍的に向上します。

大切なのは、一度に大量の情報を詰め込むのではなく、日々の中で何度も同じ情報に触れること。そうすれば、確実に記憶は定着し、学力は盤石なものとなるのです。