宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
子どもの読解力が伸び悩む理由は、多くの場合、表面的な理解の不足ではなく「読み方」そのものにあります。
特に中学生や高校生になると、文章を読む際に「問題を解くためだけ」に読む傾向が強まります。
テスト対策として文章を読み進めると、どうしても問題に関連しそうな部分だけを拾い読みするか、全体を一様に読み飛ばしてしまいがちです。ここに大きな問題が潜んでいます。
学校や塾で「速読力を鍛えよう」と言われることも多いですが、これは誤解を招きやすい言葉です。
速く読むこと自体が目的になってしまうと、内容を正確に捉えることができません。
もちろん速く読む力も大切ですが、問題は「すべて同じ速度で読む」という習慣がついてしまうことにあります。文章を読む経験が浅い子どもほど、この罠に陥りやすいのです。
例えば、難しい数学の問題を解くときには、式の意味を理解するために何度も見直しながら解いていくでしょう。
それに対して、簡単な計算問題ならスムーズに進めることができます。
ところが、文章読解においては、このような「部分ごとに速度を変える」という考えがあまり浸透していません。すべてを均一の速さで読もうとする子どもが非常に多いのです。
読解力を伸ばすためには、むしろ「読解の速度を自在に変化させる」という意識を持つことが重要です。
例えば、易しい部分はさっと読み進め、難しい部分に差し掛かったら立ち止まってじっくり読む。
これは国語でも英語でも変わりません。
ある高校生の例を挙げましょう。彼は英語の長文読解が苦手で、すべての文章を同じペースで読み続けていました。
私が「難しい部分では手を止めて考えること。強弱のリズムを意識するのが読解においては大事だ」と伝えると、すぐに結果が出ました。
強弱を意識することで、理解の精度が上がり、結果として解答精度も向上したのです。
子どもたちが文章を読む際に、意識的にペースを調整できるようにすることは、学校の授業や試験に限らず、社会に出た後も役立つスキルです。
文章を「問題を解くための道具」としてではなく、「内容を捉えるための手段」として読む意識を育てることが大切です。
読解力を高めるポイントは、単純に速く読むことではありません。むしろ、「速く読む」「じっくり読む」「立ち止まって考える」というペース配分を自在に変化させることにあります。この意識を持つだけで、読解力は確実に向上するでしょう。