「大量演習では伸びない――『一文入魂』で英語は変わる」

雑な読解を見直す覚悟を

· 英語勉強法,塾長の指導観・雑感

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

単語や文法をやっているのに、英語の成績が思うように伸びない

――この原因を突き詰めると、「精読」を軽視しているケースが非常に多いことに気づきます。

精読とは、単に訳すことではありません。一語一句を正確にとらえ、文構造を理解し、内容を深く味わう営みです。

そして、これを雑に扱う人は、例外なく英語の伸び悩みに苦しむことになります。

たとえば、学校で精読の授業があった場合、どのように取り組むべきでしょうか。

ただ授業を聞くだけでは不十分です。

まず、授業前に予習をし、自力で訳し切る努力をすること。

次に、授業中に先生の説明を聞きながら、自分の理解と答え合わせをし、ズレがあればその場で修正すること。

そして授業後には、復習としてもう一度テキストを開き、自分の手で「正しい訳」を再現できるか確かめる作業が必要です。

さらに重要なのは、「時間を置いてから再挑戦する」ことです。

一度理解できた気になっても、1週間後にもう一度訳してみると、案外スラスラ出てこないものです。

ここで、できるようになるまで周回する――この地味な反復こそが、本当の力を育てます。

このプロセスを話すと、保護者の方から「そんなに大変なことを毎回やるんですか?」と驚かれることがあります。

しかし、これは「特別な努力」ではありません。

実は、英語が得意な子は無意識にこれに近いことをやっています。

そして、英語に苦手意識を持っている子は、例外なく「一度読んで、なんとなくわかった気になって次へ進む」という雑な学び方をしているのです。

さらに厳しいことを言えば、精読ができない子は、リスニングや英作文、さらには長文読解でも必ず壁にぶつかります。

英文を正確に読み解く力がない状態で、耳から英語を聞き取ったり、自力で英文を組み立てたりするのは不可能に近いからです。

大量の問題集を雑に解くことより、たった一つの英文を完璧に読み解く経験を重ねること。

この地味な努力こそが、英語の総合力を底上げします。

周囲が「たくさん問題をこなしている」ように見えると焦るかもしれませんが、本質的な力は「どれだけ深く読めたか」によって決まります。

もちろん、これを中高生に求めるのは簡単なことではありません。

だからこそ、塾や家庭で、「何をどのレベルでやるべきか」を明確に伝え、焦らず丁寧な学びを支える必要があるのです。

見た目のスピードや表面的な成果に惑わされず、一文一文と真摯に向き合う子が、最後には最も遠くへ到達します。

英語力を本当に伸ばしたいなら、ぜひこの「雑にしない精読」を、今日から意識してみてください。