「音読」軽視はもったいない

英語・国語の力を伸ばす本当の理由

· 塾長の指導観・雑感,英語勉強法

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

今どき「音読が大事です」と言うと、保護者の方から「そんなの当然ですよね」と受け止められるかもしれません。

しかし、多くの家庭で行われている音読は、「声に出して読むこと」そのものを目的にしてしまっているように見受けられます。本当に効果を上げる音読とは、もっと別の次元にあるものです。

たとえば、英語の音読。
 

単に正しい発音を心がけるだけではありません。

重要なのは、句のかたまり(チャンク)を自然に捉える力を鍛えることです。

英語では「意味の区切りごとに理解しながら読む」ことが要求されます。これができないと、リスニングもリーディングも、どこかで頭打ちになります。

正確な音読を重ねることで、こうした「意味のまとまり=句構造」を無意識に捉えられる力が育ちます。
 

たとえば、こんな例があります。
"She said my friend is smart." という英文を音読させるとしましょう。
この文は、一見簡単そうに見えますが、区切り方ひとつで意味がブレます。

  • 正しい区切りは、She said|my friend is smart.
     (彼女は「私の友人は賢い」と言った)

しかし、間違った区切り、つまり**She said my friend|is smart.**と読んでしまうと、
まるで「彼女が私の友人である」と受け取られかねません。

このように、どこで区切るかによって、理解する内容そのものが変わってしまうのです。

さらに音読の最大の恩恵は、「読んでいる箇所を短期記憶しながら、一歩先を見る」能力を伸ばせる点にあります。

 

人間の目は、文字を一文字ずつ読んでいるように見えて、実際には「数文字~数単語のまとまり」を一度に捉えています。

 

音読では、声に出すタイミングに合わせて「少し先」を視野に入れながら、今読んでいる内容を短期記憶に保持する訓練が、自然に行われます。

 

これが続くとどうなるか。
 

英語でも国語でも、読解のスピードと正確さが劇的に向上します。

 

単語単位で立ち止まらず、文脈を素早く把握し、前後のつながりを意識した読みができるようになるのです。

 

このレベルに達した生徒は、定期テストでも、模試でも、問題文を読む速度が他の生徒の1.5倍になります。もちろん、その差は結果に直結します。

 

逆に言えば、音読をおろそかにしている生徒は、どこかで「読む速度が遅い」「文章の流れがつかめない」という壁にぶつかることになります。

 

そして、あとからこの能力を鍛え直そうとすると、非常に多くの時間がかかるのです。

 

「音読は子どもっぽいから嫌がるかも」と心配する必要はありません。

 

正しい指導をすれば、生徒自身が「音読をすると頭の中にスラスラ入る」感覚を覚えるようになります。こうなれば、あとは自然に自分から取り組むようになります。

 

今、音読を「単なる声出し」としてではなく、「高度な脳の訓練」として位置付けること。
 

それが、英語力・国語力を本物に変える第一歩なのです。